2009 knitting and stitching show 3

ニッティング&ステッチング ショー 2009

”ロンドンのニット事情” ~ メガサイズの棒編み ~

私がこのショーの事を知ったのは、2005年冬、ショーの様子が日本のある編み物雑誌に載っていたのがきっかけでした。その年は日英交流記念か何かで、日本からの作家さん何名かが出展したというレポートでした。そこで極めて印象的だったのが、現地の方がデモンストレーションで行っていた、「メガ ジャンボ針での棒編み」。手の平でオールを掴んで漕ぐような、そんなダイナミックな編み物の様子に笑いと自由さを感じ、今年、ようやく現地に行く事が出来ました。

そんなメガサイズは、今では主流でありつつ針も量産されていました。
でも全て木製なのが特徴的です。

そう、先日に書いたエントランス展示での、ボート製作にも使われていたものです。

そしてこれが、ボート製作cast off のリーダー、イングリッドさんのブース
(ハンガーみたいになっているのがロングのジャンボ針です)

このパンキッシュな方がイングリッドさん
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こちらはショートバージョンの針
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リサイクルされる、シーツなどの裂き布
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時間短縮、効率化を求める現代、そして環境への配慮(リサイクル)そうして融合した編み物、その名も、21st century knitting 「21世紀の編み物」と題されていました。
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(イングリッドさんのサイトに面白い写真も幾つかあったので興味がある方はどうぞ。先日の日記にリンクあります)

ただ、ここで私が謎なのは、かぎ編みは機械が出ていないので人の手で編むしかないのですが、棒編みは機械が出ているので効率化は可能に対し、ロンドンではほとんど棒編みばかり。機械が出ていようと、自分の手で編むのがいいみたいですね。話を聞くと、「自分の親から習ったのが棒編みだったので、そのまま棒編みしかしてないわ。」という声や、ある古着屋のお姉さんは、「かぎ編み(クロシェ)というと、昔のアンティークが有名ね。(アイリッシュ クロシェのこと) そう言われれば、冬はみんな棒編みだけど、夏はかぎ編みっていう感じね。」と話してくれました。かぎ編み=レース編みの印象が強いのでしょうか。

それにしてもほんと、みんな棒編みでした。

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もはや道具を使わず、ジャンボフェルト糸を腕で編む方も・・・
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これがアーム ニッティングで出来上がる作品達
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このショーでの人気は、このジャンボ編みと、その正反対の、
細い針で細かい模様で編む靴下なのも面白い。

socks

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会場には出版社や手芸本屋さんもあったので調べてみたのですが、圧倒的に棒編みが多く、かぎ編み本のモチーフ集などありますが全て英語表記で編み図が載っているものは殆どなく、amazonで日本でも手に入るものや洋書として見かけるものでした。

それと日本との大きな違いは、英語表記だとアメリカ人も、イギリス人も、オーストラリアもヨーロッパetc…多くの人が読めるので、日本のように毎シーズン出る本のようではなく、ハードカバーで”定番”となるような本が多い気がしました。

その点、日本の編み物本は、毎シーズン色んなテーマや、分かりやすい編み図から解説までしてあり、物凄く高いレベルを持っていると思うのでですが、難点は”日本語”というところでしょうか。ただ、日本が誇れるのは、「編み図」という世界共通語を持っていることではないのかと思いました。あとは、海外のインターネットでは、フリーフォームかぎ編みなど面白い発想のものが多いので、発想力が加われば、もっとファンを増やす事だと思いました。

さて100年後、22世紀の編み物はどうなっているか、、、思いをはせつつ、来月の締め切りの作品は私の目の前に。

(ニットショー つづく)

https://shizukasone.com/knitlog/2009-knitting-and-stitching-show-4/

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